今日で11月も終わり、街がクリスマスに華やいできますね🎄
今回の投稿は体外受精をして一度卒業された方向けです🙇♀️
そして過去1長いです🙇♀️
治療中の方はどうかスルーしてくださいね🙈🙉
先日、心温まる、嬉しいお手紙をいただきました🥹
当院での体外受精でお2人のお子様に出会われた方からです👨👩👧👧
とても幸せなご様子が伝わってきて、うるっとしながら読みました😌
そして、『夫婦で話し合いを重ねた結果、残りの凍結胚の保存を中止する決断をしました』とありました。
とても重い決断でもあったのかな、と行間から感じ、なんだか胸が詰まりました。同じような思いを抱えている方がいるかもと思い、長いですが、わたしの気持ちを投稿しますね。
うちのクリニックでは、少ない採卵回数で、妊娠、出産に結びつけたいと考えています。一回の採卵でできるだけ多くの卵子を採取し、凍結胚をいくつか保存して、胚移植には数回チャレンジできるような治療戦略としています。
(世界中の多くの不妊治療施設でスタンダードで最適な治療とされています)
採卵は、注射も多く、侵襲的な手術であるため、必要がない限りは少ない回数で済ませたいです。
20代から30代前半で、卵管のつまりがある方や、多嚢胞卵巣症候群(PCOS)で排卵しづらい方、パートナーの精子がすくない方は、若くても体外受精が必要になることがあります。そのような方々は、AMHが年齢相応である場合、1度に10個以上採卵し、複数個の凍結胚を確保することも可能です。
先日のこうのとりフォーラムで講演された、浅田先生が提唱されている『one and done』=『1回の採卵で複数の子供を産む』というのが体外受精の理想であり、魅力だと思います。複数個の凍結胚が確保できると、one and doneが叶うことも望めます。
ただ、その場合、使わないたまごちゃん(正しくは凍結胚ですが、日常的にこう呼んでいます🤭)も出てくることがあります。
ご夫婦で欲しい子どもの数もそれぞれです。
おひとりで充分とおっしゃる方もいれば、4人目の治療をされている方も何人もいらっしゃいます。
医学の世界では、受精後14日の受精卵から命とみなす(=研究のための培養をしてはならない)とあります。
凍結胚は受精から2日〜6日成長した細胞です。
わたし自身は、子宮の中で心拍が見えたら(妊娠6週、受精後28日くらい)、命が本当に始まった🤩という気持ちになります。もちろんその前の細胞時代も胎嚢も大切な存在には変わりありません。
人によっては、受精の時点で我が子と感じる方もいらっしゃると思います。
たまごちゃんは、もちろん命のみなもとであり、大きな可能性を秘めた希望の光のつぶ🫧です。でも、まだ、赤ちゃんではなく、細胞です。
当然たまごちゃん全てが赤ちゃんになるわけではありません。自然の営みであれば、その多くは月経の一部となるものです。
(廃棄するという言葉はわたしはあまり好きではないのですが…)凍結保存を中止する、ということは、『妊娠して出産する』という女性としてのステージを卒業し、新たな人生のステージに一歩進むということだと思います。それもまた素晴らしいことです。
保存中止に対して、簡単にドライにはなれないかもしれないけど…
採卵が終わった時に希望の光になってくれたことは確か。赤ちゃん誕生のチカラになってくれたことも確か。そこは認めて、そんなふうにたまごちゃんたちとのことを大切に考えたのなら、さよならすることは、罪悪感を持たなくてよいと思っています。きっと、今いるお子さんたちにその魂は宿っていると思うのです。
(みんなの力を結集して、代表して生まれてきました🫡的な)
そして。
いま、今後お迎えに行く予定でたまごちゃんたちをクリニックに預けていらっしゃる方々へ。
たまごちゃんたちは、冷たいところで休んでいます。でもきっと寒くはないです。良い状態でキリッと保存されています。きっと寂しくないです。たっくさんのお友達と一緒です。毎日培養士さんたちも一緒で、お世話をしてくれ、賑やかで温かい場所です。毎日新しいいのちを生み出す尊い場所です。
だから。
心と体の準備が整ってから。家族の準備が整ってから。焦らずにお迎えに来てくださいね。
何人産むのか、何歳差で産むのか…
悩みは尽きなくて、正解もなくて。
なかなか計画通り、理想通りにもいかなくて。
その時その時に精一杯考えて向き合うことが、大切なんだと思います。
理想を追い過ぎて自分を追い詰めないで欲しいなって思っています。
これからもたくさんの赤ちゃんの妊娠をお手伝いしていきたいです。そして、一方で、妊娠だけでなく、女性の一生を通じてサポートできるクリニック、そして愛育病院でありたいなと思っています。凍結胚のことで悩む時は是非来院してご相談くださいね。
2022/11/30